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【ライブレポート】
銭湯で和太鼓!?
鼓童が送る新感覚の和太鼓ライブ「風呂ドン」を紹介

撮影:吉田航太

2019年2月24日、東京都にある銭湯・殿上湯で、「風呂ドン」という前代未聞のイベントが開催された。その内容は「銭湯にやぐらを組んで演奏する和太鼓ライブ」である。出演はなんと太鼓芸能集団「鼓童」だ。銭湯×和太鼓という例をみないイベントがどのようなイベントだったのか。本日は「風呂ドン」の様子を紹介する。

What’s「風呂ドン」

「風呂ドン」は太鼓芸能集団「鼓童」と銭湯がコラボして開催した公演だ。近年の銭湯ブームの中、銭湯を使ったイベントは色々開催されているが、重機を用いて舞台を作成する大掛かりなイベントは今回の風呂ドンが史上初とのことだ。

若い世代に銭湯と和太鼓の良さを知ってもらいたい、そんな想いで企画されたのが「風呂ドン」である。

会場「銭湯 殿上湯」

風呂ドンの会場となったのは東京都北区にある銭湯「殿上湯(でんじょうゆ)」。イベントなどで貸し出しを行ったり様々な取り組みを積極的に行っている銭湯だ。

銭湯内も明るく清潔感溢れ、若い人や海外から訪れた観光客の方でも訪れやすい雰囲気を持った良い銭湯だと感じた。

「風呂ドン」ライブレポート

会場は正に銭湯!!

会場に到着すると真っ先に目に入ったのは風呂ドンの暖簾だった。銭湯ならではのお出迎え方法に思わず笑みが溢れてしまう。

暖簾を潜り、中に入るとそこには銭湯の風格があった。飾られたシャンプーなどのアメニティ、入湯料の看板、積まれた風呂桶…間違いなく銭湯なのである。

受付を抜けると浴場が見える。浴場には組み上げたステージがあった。女湯と男湯の間にステージを作るとは聞いていたが、想像以上にガッチリした舞台で驚いた。ここでどのような演奏が行われるのか、心の高まりを感じる。

 

波の音と共に始まる「風呂ドン」

開演を待ち、ざわつく会場に波の音が響わたる。あずきとざるを使った楽器の音色だ。連続性のある柔らかくも小気味良い音が会場を包み、会場が一気に開演ムードに変わるのを感じた。

波の音に合わせて鼓童のメンバーが登場。厳かな雰囲気で始まったのは「貝殻節」。貝殻節は鳥取県の民謡で、漁師の作業唄として昔から親しまれている曲である。

銭湯の高い天井に美しい歌声が響く。銭湯はホールにも引けを取らない環境の良さを持っているのだと驚いた。こういった企画があるからこそ気づける新たな発見は面白い。

 

マレットのヘッドに近いものがついたバチで鳴らす音は、とても丸く柔らかい。澄んだ歌声と丸い音が絶妙のハーモニーを奏でていた。銭湯という普段とは異なる会場でも最適な音色を出せるのは、音の出し方を熟知している鼓童の基礎力があってこそだ。

 

白熱の新曲「湯けむりとらんす」

貝殻節が終わると同時に銭湯内に木琴の音が響き渡る。厳かな雰囲気から一転、演奏者が風呂桶を片手に会場をのせ始めた。新曲「湯けむりとらんす」の始まりだ。

主軸となる木琴を中央に配置し、ミニマルミュージックの如くフレーズを繰り返し奏でるメロディ。それは現代音楽に近い馴染みやすさを感じた。テンポも速めでノリやすく、若者にも親しみメロディに会場は盛り上がっていた。少し硬かった会場も湯けむりとらんすによりほぐれ、盛り上がりを見せていた。

普段、和太鼓の音で曲を表現する鼓童ではあまり見ることのできないノリと表情もとても新鮮である。

 

銭湯で聴く「南部牛追歌」

岩手県の民謡「南部牛追い歌」も披露された。切ない曲調だが、どこか清々しさもある曲だ。この曲も銭湯の閉鎖的で響く空間を活かし、美しい旋律を奏でていた。

一曲目の貝殻節もだが、和太鼓だけでなくこういった日本に伝わる唄を披露し、伝えてくれるのも鼓童の魅力の一つだ。普段あまり聴くことのない民謡は若い人にはどのように映ったのだろうか。

 

観客との風呂桶セッション「湯けむりふぃーばー」

コール&レスポンスで手桶を振りかざしたり、リズミカルに風呂桶を叩く音が鳴り響く。新曲「湯けむりふぃーばー」だ。

この曲は観客と風呂桶でセッションするという今までにない曲だ。鼓童のお客との距離感を縮め更に楽しませようとする気持ちが伝わり、会場が一つになる。観客参加型の曲も距離感が近い今回のような舞台だからこそ楽しめる演出だ。

撮影:吉田航太

 

ラストは「屋台囃子」 
締めるところは締める、それが鼓童。

この日最後に演奏されたのは「屋台囃子」。新曲と民謡を織り交ぜつつ締めるところは締める。そのメリハリの良さが鼓童だ。この曲により、先程の砕けた空気感がスッと引き締めるのを感じた。

屋台囃子は、祭りなどで引く屋台という狭い空間で披露する演目だ。銭湯の上に作られた櫓での演奏は山車の中で演奏する曲の起源にも通じる、ふさわしい演出だ。下からながめる屋台囃子というのも山車を連想する意味で味わい深かった。間近で眺める躍動感ある太鼓に観客も釘付けになっていた。

風呂ドンのラストを締めくくるにふさわしい鼓童らしい一曲だ。

アンコールまでが「風呂ドン」

屋台囃子が終わるとアンコールの手拍子が会場に鳴り響いた。風呂ドンという公演が観客に届いていたことがわかる手拍子だ。

アンコールに演奏された曲は「結」。軽やかな笛の音色と明るく晴れ晴れした曲調は、お祭りを感じさせるノリがあり、アンコールにピッタリだ。耳に残るフレーズについつい口ずさみたくなってしまう。

アンコールも終わると風呂ドンは終演となった。鼓童初の試みとなる銭湯での公演、和太鼓と銭湯の両方に新しい風を通すことができた素晴らしい公演だった。

 

まとめ
銭湯×和太鼓=新感覚のエンターテイメント

「風呂ドン」は新しいエンターテイメントといって良い、新鮮な面白さがたくさんある公演だった。銭湯という会場だからこその演出や音の響き、演者と観客の距離感など、今までの和太鼓にはない要素が色々詰まっている。和太鼓の音を直接肌で感じ取れて、伝わるようなエンターテイメント性に新しい可能性を感じた。

また、今回のライブはインスタグラムでリアルタイム配信を行うなど、若い人の目に留まるよう様々な工夫もされていた。こういった努力こそが新しい世代を取り入れることに繋がっていくのだろう。

鼓童にとっても初めての試みで手探りな部分もある公演だったそうだが、会場の利点を活かし欠点を感じさせない努力が見え、若者にも親しみやすく、観客への気遣いをとても感じた良い公演だった。「風呂ドン」がこれから全国規模に広がり、和太鼓と銭湯を若い世代や様々な世代に広めるきっかけとなることを心から楽しみにしたい。

 

Infomation

ライブ名 風呂ドン
開催日 2019年2月24日(日)
場所 殿上湯(東京都北区)
出演 鼓童
・阿部好江
・草洋介
・三浦康暉
・山脇千栄
・中谷憧
セットリスト 1 貝殻節
2 湯けむりとらんす(新曲)
3 南部牛追い唄
4 湯けむりふぃーばー(新曲)
5 屋台囃子(風呂ドン ver.)
アンコール:結
企画 The Kennedys

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