【ライブレポート】演奏だけでない学びがそこにあった。
『HEAVENESE BRIDGE@日本橋三井ホール』
2019年4月13日、日本橋三井ホールで『HEAVENESE BRIDGE@日本橋三井ホール』が開催された。今回は平成最後の月を飾る『HEAVENESE』のパフォーマンスの様子をライブレポートでお届けする。
『HEAVENESE』とは
『HEAVENESE』は2012年より活動しているエンターテイメント一座である。ツインボーカルを主軸とし、ドラム、ベース、キーボード、サックスなどの洋楽器と尺⼋、篠笛、和太鼓、津軽三味線などの和楽器によって構成されている。
『一座』という名の通りただ演奏をするのではなく、パフォーマンスや語りなど様々なエンターテイメント要素を備えている。他にはないオンリーワンのパフォーマンスが大変魅力的な団体だ。
国内だけでなく、国外での活動も多く、公演を通して日本の持つ文化や歴史の素晴らしさを世界に広めている。
■HEAVENESE公式Webサイト
http://heavenese.jp
ライブレポート「HEAVENESE BRIDGE@日本橋三井ホール」
この日は平成最後のHEAVENESEということで会場はとても賑わっていた。私にとっては初のHEAVENESEで、一体どのようなものなのかワクワクしていた。
座席にて開演を待っていると、開演前は結構空席が目立っていた。和楽器関連だからやはり全席埋めるのは難しいのだろうか?と思って見ていたのだが、それは大きな勘違いだった。開演10分前になると次から次へと人が入ってきて、一気に満席となったのだ。700席近くある日本橋三井ホールが埋まるということ驚くと同時に、HEAVENESEがファンから愛され、期待されているということがよく分かる瞬間だった。
『EDUTAINMENT』= EDUCATION + ENTERTAINMENT
HEAVENESEはただのエンターテイメント一座ではない。『EDUTAINMENT(エデュテイメント)』と呼ばれるジャンルで活躍する一座である。
『EDUTAINMENT』は”EDUCATON”(教育)と”ENTERTAINMENT”(エンターテイメント=娯楽)が融合した、楽しみながらも学ぶことができるというジャンルだ。
HEAVENESEでは公演ごとにテーマがあり、そのテーマに沿って「音楽、語り、喋り、パフォーマンス、映像」と様々なものを用いて、楽しみながら今まで知らなかった世界・知識を教えてくれる。
日本橋公演のテーマは『道』
この日のライブテーマは「道」。日本橋という”日本の道の始まりとも呼べる場所”での開催に合わせたテーマだ。
江戸時代を始めとし、「日本の道がどのようなもおのであったか」「日本の道がどのような役割を果たしていたのか」などたくさんの事を紹介していた。普段気にすることのない道だが、構造についての話を聞き、改めて日本の道が世界から見てもとても優秀であったということを知ることができた。
Pick Up!! 『江戸時代の職業』はバリエーション豊富だった!?
この日は「道」をテーマとしていたが、それだけに納まらないたくさんのことを知ることができた。特に江戸時代の職業についての話がとても興味深かった。
豆腐や氷を売る今でもある職業から、今では考えられない変わった職業まで様々な職業があったという。親孝行をする仕事からお化けを売る仕事まで多種多様だ。もちろんちゃんとした職業か?と思うものも多いが、当時は世間も職業に対して寛容であり、それで仕事が成り立っていたとのいう話だ。
また、『節季候(せきぞろ)』と呼ばれる門付芸人の話も面白かった。家家を巡り、芸を披露して食べ物やお金をもらうのだが、芸によってではなくそのやかましさゆえ早く帰って欲しくて人々が食べ物を渡していたというのだ(諸説あり)。芸も面白いとは思うが理由が理由だけに笑ってしまった。
節季候は毎年12月中旬から末に現れるとのことで、こういった多種多様な職業が当時の季節や時間を表す指標にもなっていたそうだ。その話もとても興味深く、面白かった。
本物の「木遣り唄」が披露される
この日は江戸の火事や火消しについての話もあった。当時は火事が多かったこと、火事の時の消化方法などなど当時の暮らしぶりも知ることができる為になる話だ。
火消しについての話とパフォーマンスが披露される中、なんと本物の火消しが登場したのだ。登場したのは、江戸時代からの町火消『ろ組』の4代目組頭「鹿島」親分と「ろ組」の方々だ。
歴史を受け継いだ本物の『木遣り唄』が披露され、会場はその空気感に圧倒されていた。時代を超え、今なお受け継がれている歴史に感動してしまった。木遣りを生で見られる機会は中々ないので、とても貴重な体験をすることができた。
最後までEDUTAINMENT!!
開演から終演までたくさん学べる公演で、正しく『EDUTAINMENT』である。
道の話から当時の暮らしぶり、時代が変わる中で起きた争い、次の時代への願いなど…ただ演奏や芸、パフォーマンスを楽しむだけでなく『EDUTAINMENT』と呼ばれる理由が理解できた。
知らなかったことを楽しく学ぶことができる素晴らしいパフォーマンスに会場も大盛況であった!!
まとめ 『HEAVENESE』という今までにないパフォーマンスの形
『HEAVENESE』というものをただの和楽器のライブ!!と思って行くと驚くかもしれない。しかし、『HEAVENESE』が掲げるものを知ればパフォーマンスの形も納得である。
『HEAVENESE』は他のどこにもないオンリーワンのスタイルを持った驚きの一座である。独自のスタイルや感性から生み出される音楽や表現はとても刺激になり、魅力溢れるものだ。『HEAVENESE』をまだ見に行ったことのない人は、機会があれば一度足を運んで見て欲しい。今までなかった学びや感性に胸踊ること間違いなしの一座である。
※写真はHEAVENESEの関係者様より許可をいただき掲載しています。
写真の無断転用、掲載、二次配布はご遠慮くださいませ。
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