【ライブレポート】鼓童が奏でる新しき世界、新作公演『巡-MEGURU-』のライブレポートを紹介
11月3日より太鼓芸能集団「鼓童」の新作公演『巡-MEGURU-』がスタートした。今までにない世界観が描かれた公演、鼓童はどのような風景を私たちに見せてくれるのか。
今回は長年鼓童の取材を行う演劇ジャーナリスト「伊達なつめ」氏のレポートと写真家「岡本隆史」氏によるライブフォトを紹介。
太鼓芸能集団「鼓童」
鼓童は太鼓を中心とした、伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。
1981年にベルリン芸術祭にてデビュー、以来50以上の国と地域で6,000回の公演を開催。その中でも、多様な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」をテーマとした「ワン・アース・ツアー」は世界各地で3,900回公演されている。
また、劇場公演の他、小中高校生との交流を目的とした「交流学校公演」、クラッシック・ロック・ジャズ等、異なるジャンルの優れたアーティストとの競演、世界の主要な国際芸術祭、映画音楽等に参加し、佐渡島における鼓童の創造的な活動・ライフスタイルやその理念は、世界のアーティストや芸術関係者から注目を集める。
鼓童新作公演『巡-MEGURU-』
『巡-MEGURU-』は若手の注目株「住吉佑太」さんが初めて演出を担う公演だ。
住吉さんは2010年に鼓童研修所に入所した当初より、演出として参加していた坂東玉三郎氏の指導を受け、2013年から鼓童のメンバーとして、「大太鼓」やソリストに抜擢。また、演奏だけではなく作曲やアレンジなどでも才能を発揮し、鼓童のサウンドメーカーと称されている。
本作の楽曲も全て新作で、住吉さんが生まれ育った香川に伝わる獅子舞や徳島の阿波踊り、栃木や群馬に伝わる八木節や岩手に伝わる鬼剣舞など、多くの郷土芸能をさりげなく織り込み再創造することにより、住吉特有の音楽世界が鼓童の太鼓音楽をさらに広げている。
他にも鼓童が長年演奏してきた「三宅」をさらに昇華させた楽曲、西洋音楽的なアプローチで作り上げたリズムアンサンブルや即興曲等、今までにない試みが凝縮されている。前作『道』での王道的なものとは一変した、新たな才能が響かせる魂の音を体感できる公演となっている。
伊達なつめ氏 レポート「新世代鼓童、発信!」
11月3日にスタートした鼓童の最新作『巡-MEGURU-』を、滋賀県大津のびわ湖ホールで観た。今回のほとんどの楽曲の作曲も手がけた鼓童のホープ・住吉佑太(27)の初演出。マリンバという意外な楽器をテーマ曲『巡』に使用し、その耳に残るメロディーを随所でリフレインさせながら、個々の太鼓の打ち手にフォーカスした意欲作だ。
特に注目されるのは、鼓童の数十年来の看板演目の大胆なアレンジを試みた『祭宴』(作曲/中込健太)と『天涯』(作曲/大塚勇渡)。前者は、床に置いた宮太鼓を低い姿勢で打ち込む『三宅』のスタイルを踏襲しながら、女性を含めた三人の個性輝く打ち手が、それぞれらしい太鼓の個性をアピールする前半のショー・ストッパー。後者は、大太鼓に真剣に向き合いながら、柔軟にそのさらなる可能性を探ろうとする果敢なチャレンジに見えた。単に目先を変えるような場面など挿入せず、自分たちらしい太鼓音楽を目指して突き進む、若いパフォーマーたち。いよいよ鼓童の新時代がスタートしたようだ。
文:伊達なつめ
写真:岡本隆史
Infomation
公演名 | 巡-MEGURU- |
演出 | 住吉祐太(鼓童) |
出演 | 太鼓芸能集団「鼓童」 |
日程 | 2018.11.30(金)新潟県新潟市 新潟県民会館 2018.12.01(土)長野県長野市 長野市芸術館 2018.12.07(金)千葉県船橋市 船橋市民文化ホール 2018.12.08(土)神奈川県茅ケ崎市 茅ケ崎市民文化会館 2018.12.09(日)埼玉県熊谷市 熊谷文化創造館 さくらめいと 2018.12.11(火)神奈川県横浜市 神奈川県民ホール 2018.12.13(木)埼玉県富士見市 富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ 2018.12.15(土)東京都調布市 調布市グリーンホール 2018.12.16(日)東京都福生市 福生市民会館 大ホール(もくせいホール) 2018.12.19(水) 〜2018.12.23(日)東京都文京区 文京シビックホール大ホール |
問い合わせ | ☎︎ 0259-86-3630 |
その他 | 鼓童 『巡-MEGURU-』 公演特設サイト ツイッター:@KodoHeartbeat フェイスブック:@KodoHeartbeatjp インスタグラム:kodoheartbeat |
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撮影:岡本隆史
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